平安時代に書かれた、おそらく日本最古の日記文学である土左日記。土左国に国司として赴任していた紀貫之がその任期を終え京へと帰る55日間の旅路を、書き手を女性に仮託し平仮名で綴った作品です。
旅の工程、天候、道中の景色、海賊への恐れ、わが子への追懐など、細やかな感情のひだや心の動静をみごとにあらわした不朽の作品。事実と虚構が交錯した旅の物語を、堀江敏幸さんの鮮やかな新訳で味わえます。
このうみを、いまわたしはわたっていくのです。
そのうみにまさるともおとらない、ふかみのあるこころを、あなたはおもちだと、わたしはおもうのです。
発行:河出書房新社
発行年:2024年
サイズ:文庫判
ページ:160p