「夕やけを浴びて光る一面の雑草
簡素でちいさな山車、その奥に壊れた建物
それぞれは、とても受け入れがたいほどに悲しい
けれど、その光景はとてもきれいだった」
かさ上げ工事で約10mの高さの新しい地盤が築かれた上と下、二重になったまちに生きる人びとを描いた2031年の物語。
物語ることの必然、耐えがたい出来事に対して発する「耐えがたい」という言語がもたらす幾分かの救い。
丁寧に綴られた言葉とともに挿し込まれた絵は鮮やかでうつくしく、安堵と希望を感じます。
聞き取りをもとに書き上げられた「交代地のうた」、 日々の記録「歩行録」もあわせて収録されています。
発行:書肆侃侃房
発行年:2021年
サイズ:四六判
ページ:256p