東京を離れ、三方を海に囲まれた町、真鶴へ移り住んだ著者の、真鶴での暮らしを綴ったエッセイ集。思い出す東京のこと、図書館での仕事、畑のこと、アシダカグモとの暮らし、小人の話…。見知らぬ土地に住うこと、海のまちに暮らすこと。緩やかに移り変わるシーンの中で思考をめぐらせ、新たな自分を見出すこと。波の音とあたたかい土の匂い。いつかきっと忘れてしまう、淋しくて、優しい日々の記録。
「ーー事実的な情報の配列からあぶれた瑣末な生活の印象は一体誰が記録してくれるのだろう。それらはみな名を持たない事件であり、一過性の感情の死骸めいたものであり、限定された過去を照らす自分自身の光なのだ。」
発行:真鶴出版
発行年:2024年
サイズ:B6判
ページ:120p