いつも雨の音に満ちている部屋、誰かがつくってくれたごはんのおいしさ、恋人の肌に刺さった鳥の羽、ベーコンやコーネル、デューラーの作品のこと…。ささやかな心の機微を穏やかな筆致で描き出す様は、まるで精緻なスケッチのよう。見知らぬ誰かの記憶が、まるで自分の記憶のように鮮やかに立ち上がる5篇の物語。
「穀雨のころ」で文学新人賞を受賞、詩集「冬の森番」でエルスール財団新人賞現代詩部門を受賞した青野暦さんによる小説集。
「よくおぼえていないことを、おぼえているみたいな顔して、思いだそうとするなら、物語に親しくなる。…受動と能動のあいだみたいや場所で、どうしようもなく生きているとき、人生はほとんど他人の記憶だ。」
(早雲雀日記抄)
発行:twililight
発行年:2026年
サイズ:B6判変型
ページ:256p