★『星の時』映画公開記念★
翻訳者 福嶋伸洋さんによる選書フェア
アルゼンチン出身の奇才サマンタ・シュウェブリンの『救出の距離』は読者は最初から最後まで不鮮明な靄の中に宙吊りにするような中小説です。「いつも最悪の事態を想定する」習性があるアマンダは、娘に何があっても助けに走れる「救出の距離」に、大半の時間を費やして過ごします。いつどこからやってくるかわからない破局の予感に苛まれ続けること――女性にとって、男性中心の“マッチョ"な社会では、生きることはつねにそのような様相を帯びているのかもしれません。シュウェブリンの作風は、ブーム以後のラテンアメリカ文学の新しい潮流の一つ「スパニッシュ・ホラー」にさすものと言えますが、ブーム期の作家だったリスペクトルの作品にもすでにその萌芽があったように思えます。(コメント:福嶋伸洋)
発行:国書刊行会
発行年:2024年
サイズ:四六判
ページ:192p