★『星の時』映画公開記念★
翻訳者 福嶋伸洋さんによる選書フェア
「もろもろの喪失のなかで、ただ『言葉』だけが、手に届くもの、身近なもの、失われていないものとして残りました――」
1920 年にルーマニアで生まれたパウル・ツェランは、第二次世界大戦下でのナチスによる迫害を経験し、のちにパリに亡命します。その詩の痛切な言葉にはつねに、強制収容所で命を落とした両親や同胞への追悼、死の影が滲んでいます。
同じ 1920年に、リスペクトルはウクライナで生まれました。ロシア内戦下でのユダヤ人迫害を逃れ、両親は幼いクラリッセを連れてブラジルへと至りました。母親は戦時の暴力によって生じた病から癒えなかったそうです。リスペクトル作品の裏にはつねに、目に見えない形で、戦争暴力の記憶が潜んでいるかもしれません。(福嶋伸洋・評)
発行:白水社
発行年:2012年
サイズ:四六判
ページ:202p