"彼は何を予期していたのだろう?
帰って来ると思っていたのだろうかーー?"
何かを掴んだかと思うと次の瞬間には指のあいだからすり抜けていってしまう。人びとは訪れては去っていく、まるで不在を確認するように。
「部屋」は単に住んだ居室を意味するのみではなく、ジェイコブの周囲をとりまいていたあらゆる環境を指す。時間も、空間も、場所も、風景も、他者も。散りばめられたイメージの断片が、ジェイコブの部屋を形づくっていく。そして次第に立ちのぼる彼の実体。
『ユリシーズ』の年であり、『荒地』の年であった画期的な年・1922年に出版された、ウルフの実験的長編作品。
発行:文遊社
発行年:2021年
サイズ:四六判
ページ:352p