「きみが、泳いでいく。綴じた棺の端をなぞる、詩の中でなら、追いつくことを許してほしいーー」(遊泳)
海だった頃の記憶、強まる雨脚、水を探す獣、濡れた鱗、水の底の景色。この詩集は始めから終わりまで水が流れている。それは暗渠のように身体のなかを流れ、時にアジールとなり時に帰る場所となり、作者の呼吸をここまで繋いできた。やがて消えゆく記憶と幻想を拾い上げ、確かな生の実感を辿る19篇。頼りなく、自らの輪郭さえも見失いそうなわたしたちの手を、優しく握り返してくれる。
第31回中原中也賞受賞。
発行:青土社
発行年:2026年
サイズ:四六判
ページ:70p