文筆家の伊藤亜和さんによる言葉にまつわるエッセイ集。セネガル人の父と日本人の母を持つハーフであるが故に自分の中に生じた、日本らしさや日本語に対する執着。その執着ゆえに見えてきた言葉の残酷さとうつくしさを、言葉によってゆらめく感情の機微を、豊かなまなざしで見つめ、紡ぎ出していく。
「今、どれだけの人が私の言葉を抱き留めてくれるだろう。この世界が真っ暗闇になって、お互いの姿形がわからなくなったとしても、私が選んで口に出した言葉で私だって気づいてくれる人が、一体どれだけいるのだろう。言葉たちへの恋心に混じってしまった数滴の薄暗い疎ましさ。血は今日も心臓を巡り続けて、私は言葉を書いている。もっと知りたい。こんなとき、貴方になんと伝えようか。もっと聞きたい。貴方はなんて言ってくれるのかーー」
発行:光文社
発行年:2025年
サイズ:175×110 mm
ページ:224p