「さて、これから一枚の写真を見せるので、ひとつお話を作ってもらいたい……この写真に写る人たちはなにを考えて、感じていると思う?まずは、なぜこのような場面に至ったのかを話してみてくれないかーー」
1997年、アメリカ中西部カンザス州トピーカ。物語はディベートの名手である高校生のアダム・ゴードンの語りを中心に、父ジョナサン、母ジェーン、アダムの同級生のダレン、4人の視点で語られてゆく。言語、マチズモ、家族、記憶をめぐり、ひとつの共同体の姿を描き出し、時間を繰り返し移動しながらアメリカの現在を照射する。物語が進むうちに4人の視点はすべて同じ人物のようにも思えてくる同一性と不確かさ。綿密で知性あふれる筆致によって、無数の仕掛けが施されたオートフィクション。
発行:明庭社
発行年:2025年
サイズ:四六判
ページ:378p