失われることのない瑞々しさに胸が苦しくなるほどです。怒りも、悲しみも、喪失も、計り知れない感情を背負いながらも軽やかさを決して手放すことはしない、その姿は美しい。遥かな時間を歩いてきた者のしなやかさを内包した、やさしくこころを揺らす歌たち。わたしたちはこんな歌を待っていた。
暴力のはなしにもどりませうかずっとそのつもりだつたんだけど
おまへも覚えておいたほうがいいむかうからは別のものに見えてゐる
あとにつづくとおもつてをりませぬ力とはさういふものですから
もともとおまへのとほれる隙間ひきずり込めないものはあきらめな
痛むとしきりにいはれますが負けきれなかつただけではないですか
発行:短歌研究社
発行年:2025年
サイズ:A5判
ページ:220P