夜も、雨も、春も、夢も、花々も、幻想の世界を漂うように美しく、そのなかに確かな現実の手触りがある。喧騒や慣習にしだいに輪郭が薄れ、消えてしまいそうな私たちの手を握り返してくれる、強く切ないことばたち。
心ときめく華麗な装丁に包まれた、歌人・睦月都さんの第一歌集です。
雨があなたの本性だった だとしても 硝子の窓に沈む紫陽花
五時の鐘鳴りておどろく 帰らなくてはいけない家があつた気がして
心を、遠くに置く訓練を 十二月の夜空にオペラグラスをかざす
心にも客間がほしい 客のない夜も贋作の絵などをかけて
心臓に部屋がいくつもあることの それも光の当たらぬ部屋の
発行:KADOKAWA
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:224p