どこか遠くの星のできごとのようで、毎日の日記のようで、思い出話のようで、民話のようでもある。人かどうかもわからないたくさんの登場人物たちはみんな恋をしていて、哀しくて、潔くて、かわいらしい。すべてが不確かなまま物語は進んでいくのに、迷わないようにすっきりと細い線がずっと続いていて、その線の輝かしさに私たちは救われる。
歌人・雪舟えまさんが2001年から2008年にかけてweb上に公開していた日記形式の物語集から217篇を収録。詩、小説、日記などジャンルを超越したミラクルな文体で綴られる伝説の初期作品集です。
わたしたちは
無傷ではいられなくて
傷がいっぱいあるから
光のなかでは乱反射して美しいのだと
あのひとは いって
その法則は ロボットのような君にも もれなく適用されると
冬の頬をつつんだ
発行:左右社
発行年:2024年
サイズ:四六判
ページ:464P