"「代わりに」などと言わないだけで、世界は誰かの代わりに何かをすることだらけなのだーー。"
ガブリエル・ガルシア=マルケスの小説「百年の孤独」をまだ読んでいない読者の代わりに読む、という不可思議な試みを綴った本。果たして本を「代わりに読む」ことは可能なのだろうか。要約や解説ということではなく、小説を読み進めている時間に心のなかに生まれるたくさんの感情を、消えてしまう前に伝えることはできるのだろうか。
「百年の孤独」を読み進めながら、方々へ脱線しまた「百年の孤独」へと戻る運動を繰り返すうちに、小説の舞台はいつの間にか自分の日常と重なっていく。「百年の孤独」を代わりに読みながら、やがて誰かの「代わりに」何かをすることの可能性を思考するまでに発展する、骨太の思考が導く驚異的なエッセイ。
発行:早川書房
発行年:2024年
サイズ:文庫判
ページ:360p