仙台市若林区荒浜地区。この海辺の街は、13年前の津波によりそのほとんどが失われ、震災前からある建物で今も町に残るのは、荒浜小学校のみとなりました。
この本は、あの日この町で暮らしていたかつての子どもたちのことばを掬い上げた記録です。あの日から何を想い、何を見つめてきたのか。どんなことが楽しくて、悲しくて、辛かったのか。「復興」という大きな単語に集約することのできないひとりひとりの心の機微を、忘れ難い記憶を、丁寧に綴っています。
震災は、ほんとうにたくさんのものを奪い、悲しみと絶望をおいていったけれど、彼らの言葉は、それからの日々が悲しみだけではなかったこと、時間は静かに、けれど確かに進み続けていることを伝えてくれます。
「私にとって荒浜は、帰ってくる場所です、これからも変わらず。大切な場所です。」(佐藤渚さん)
発行:HOPE FOR project
発行年:2024年
サイズ:A6判
ページ:86P