ボスニアでの戦争により帰国不能となったままアメリカに移住したサラエヴォ出身の作家、アレクサンダル・ヘモン。母語で小説を書くこともできず、まだ不慣れな英語で書いた初めての短篇集です。母語を故郷を喪失しても、言語を手放さずに描き続けた痛みとユーモア、現実の重さ、幼少期の記憶、故郷への想い。モノクロームの世界の中に、時折鮮やかな色彩が瞬くような8遍の物語。
「ーー生がつねに死より遅いという事実が僕は怖い。弱い人間だというのに、意思に反して、そのずれを直視する役に僕は選ばれたのかもしれない。」
発行:書肆侃侃房
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:288P