「ぼくは覚えている」というフレーズで始まる短い回想が連なっていく。美術家であり作家であるジョー・ブレイナードの、これは過去のイメージ?断片的な自伝?鮮烈な詩?些細なしぐさの描写、ものの細部の表現が、ある人間の姿を見事にかたちづくっていく。ひとつの記憶がまた別の記憶を呼び、人はこれほどまで細部を覚えていられるのかと思うほどのおびただしい記憶が奔流のように湧き出します。過去と現在も、虚構と現実の区別さえも揺らぐ様が人生そのものの多様さと重なる、唯一無二の作品。
発行:白水社
発行年:2012年
サイズ:白水社
ページ:254p