




アメリカの極貧地域デルタの高校へ教師として赴任した著者のミシェル・クオが、そこで出会ったひとりの生徒パトリックとの関わりを描いた記録。
根深い差別、貧困、麻薬、銃による犯罪のループ。社会の最下層に押し込められている人間と読書や言葉によって関わりを続けていくひたむきな行為が、パトリックだけでなく作者自身の内面も少しずつ豊かに変化させ、人としての尊厳を取り戻していきます。単なる救済の物語ではなく、ひとりの人間の自己発見と他者理解への過程が綴られた、著者の自伝とも言える一冊。真の教育と言語の必要性、そして本を読むことができるということについて改めて考えさせられます。
発行:白水社
発行年:2020年
サイズ:四六判
ページ:393p