



「鏡」「ノスタルジア」などの作品で知られるソヴィエト・ロシアの映画監督、アンドレイ・タルコフスキー。水、雨、光、火など自然を駆使した美しく叙情的な作風は、見る者に強く静かな衝撃を与えてやみません。
極限まで抑圧された自由のなかでこそ生まれた切実なまでの傑作の数々。息をつまらせるような望郷の念、社会への暗喩とそこに生きる人びとの苦悩と希望。
戦争と革命の時代であった20世紀に、精神的探究の自覚を持ちつづけた映像作家の思考の軌跡が記されています。
「ーー精神的危機の状態は、精神的問題を考えようとするものすべての宿命である。魂は調和を渇望しているが、人生は不調和にみちている。この不一致のなかに、運動への刺激とわれわれの痛みと希望の両方の源泉が存在する。」
発行: 筑摩書房
発行年:2022年
サイズ:文庫版
ページ:416p