






20世紀初頭のパリ。ある日、優等生のシルヴィーは、厳格な家庭で育ちながらも自由奔放なアンドレと出会います。互いに惹かれ合い、社会の抑圧に抗しながらもうつくしい世界を求める女性たちの強い絆。幸せな結末ではなくても悲観的な印象が残らないのは、常に世界を肯定するゆるぎない視線と、二人の人間が築き上げる深い友愛のプリズムにあるのではないでしょうか。因習的な社会のなかで独立と自由を目指す彼女たちの懸命な姿は、現代でもなお多くの女性が直面している状況と重なります。
ボーヴォワールの親友ザザに捧げられたこの小説は、1954年に執筆されたまま発表されることがありませんでした。"ボーヴォワールがボーヴォワールになる前夜"を描いていると言える作品です。
発行:早川書房
発行年:2021年
サイズ:四六判
ページ:224p