






“鬼“がつくほどの出不精だという翻訳家の岸本佐和子さん。それでも出かけて出会った景色たちを綴った、翻訳作と地続きの、けれどもまたべつの一面がきらめくエッセイ集です。
どこにも記録されないような些細な出来事やすぐに忘れてしまうような風景。訪れた場所が一つずつレイヤーとなっていくようすが大切に描かれています。
岸本さんが「あまり高性能でないらスマートフォン」で撮影したという旅先の写真はどれも美しく、少し切ない空気をまとっています。
「出かけるといってもそんなに遠くには行かない。ーーそれでも鬼出不精の私にとっては毎回がちょっとした旅だったし、たとえ近い場所でも、心が思いがけなく遠くまでぶん投げられることがあるのを知った。」
発行:スイッチパブリッシング
発行年:2020年
サイズ:四六判
ページ:192p