「分解の哲学」「ナチスのキッチン」などの著書を上梓している、農業史・食の思想史の研究者 藤原辰史さん。
食べるという基本的な人間の行為を軸に、他者とのつながりが生まれほどけていくゆるやかな場所。「縁食」という新しい概念を用いて、現代の多くの「食」の問題を考えます。
孤食と共食、貧困や飢餓、インドの無料食堂、
死者との食事、アウシュビッツの縁食…
藤原さんの朗らかな語り口の端々に見える、どうにかしたい、という思考の底力。時代や土地を越えた大きな視点から見えてくる「食」のかたちを、今こそ考え続けたいと感じます。
「共食は、ほかの動物にはほとんど見られない行動である。
ーーつまり、人間が、動物でも植物でもなく人間である、ということを絶えず証明し続ける重要な機会のひとつを、私たちは停止している。「これが人間か」と自問しなければならないほどの悲しみや苛立たしさが、医療現場や介護現場でつぎつぎに抱かれているにもかかわらず。」
発行:ミシマ社
発行年:2020年
サイズ:四六判
ページ:192p