「ーー挨拶代わりに「元気ですか」と聞かれると、ちょっと言葉に詰まってしまう。私はもうずっとそんな感じです。」
防御力低めの心と体、落ち込みがちな日々のことを宛先のない手紙に書き続けた2年間。ささくれ、ひっぱられながらも、漠然とした不安になんとか向き合う彼女は、それでも前にすすみます。
高すぎるほどの感度と細やかなまなざしゆえの優しい手紙。馴染みの匂いのお布団のようにそっと背中を包んでくれます。
「心のなかに誰もいなければ、誰のことも思わなければ、恥ずかしいと感じることはなかったはずだ。ーーならばこの恥ずかしさには、耐えなければならない。引き受けなければならないものなのだ。人と生きる誰もが、生きる恥ずかしさを引き受け、そして誰かに引き渡す。」
発行:タバブックス
発行年:2020年
サイズ:B6判変形
ページ:153p