ある日妻の体に痣があることに気がついた男は、その原因を知る由もなく、しだいに痩せて覇気がなくなっていく妻をただ戸惑いながらやり過ごす。そのうちに妻の体の一部植物になっているのを見つけた男は、大きな植木鉢を用意して妻を植えるが…。「菜食主義者」の前身である表題作をはじめ、変化していく社会の中で個人が抱える闇と傷を見つめる短篇8篇を収録。透明化された傷をあらわにし、声なき者の傷を描き、共に血を流す連帯としての文学。
作家ハン・ガンの初期作品から新作まで、未邦訳の小説を翻訳家・斎藤真理子さんの訳で送る〈ハン・ガンコレクション〉第一弾。
「人が、社会が、国家が回復するためには、まず傷があることを自覚しなくてはいけない。周りに対しても、ここに傷があることを主張しなくてはいけない。あるものをないかのように振る舞うことを強制されている限り、回復もないからだーー。」(解説:桜庭一樹)
発行:白水社
発行年:2026年
サイズ:四六判
ページ:386p