都市の風景を微細に見つめるまなざし。そこに宿るノスタルジーを掬い上げ、自己の心の機微を重ねていく。見慣れたいつもの日常と理解し難い不可解な存在。作者はふたつのあわいに立ち、淡々と見つめることを続けている。匿名性を感じさせながらも親しみ深いシーンがわたしたちの目の前に立ち現れる。はっきりわからないがもうこれ以上はできない、そんな捉え難い日々にやさしく染み込む267首。
今日もまたかなりおしゃれなアイテムをリュックに入れたままですごした
かんぺきな国がようやくできたのにどえしてみんないないのだろう
うつくしい青年がふとやってきて、冬は星座をしてる、といった
赤鬼はおしゃれな場所でコーヒーをはじめて飲んでからおとなしい
大きめの埴輪で家を囲まれるくらいの罰は覚悟している
発行:書肆侃侃房
発行年:2026年
サイズ:A5判変型
ページ:128p