人類の歴史は移動の歴史であった。かつて遊牧民であった私たちは、さまざまな土地を歩いてめぐり、開かれた世界には境界もなく、どこへでも歩いて行くことができた。自動車も、飛行機も発達し、時間と効率に支配される現代に、私たちは歩くことでこそ見えていた風景も時間の身体感覚も失ってしまったのではないか。ある日、病の診断を受けた著者が、車を手放し歩き始めたことで思索した、文学や哲学と共にたどる歩くことの文明史。
「歩いている時、物事がより複雑になると感じたことは一度もない。むしろすべてがより単純で、明確になる。思考はやって来ては去り、言わば「散策」するのだーー。」
発行:平凡社
発行年:2026年
サイズ:四六判
ページ:248p