「記憶というのは不思議なものだ。そこにはかならず入口と出口が用意されている。そのありかはよく目を凝らしても、まずみえないーー」
町はずれの川のそばの畑で土をつくる老人、山々と幾つもの川がめぐる町アゾーノ、夜が覆い被さる町、人を探し呼ぶ古い家…。一匹のもぐらに導かれるようにして拾い上げるかつての出来事、リフレインすることばたち。湧き上がった記憶はどんなかたちを成しているのか。私たちの内側のどこへ向かうのか。すべての音を飲み込む雪のように、静かに紡がれるストーリー。土、花、虫、雪、4つの章が織りなす、遠い日々の断片をたぐりよせる短編集。
発行年:2026年
サイズ: B6判変形
ページ:168p