鋭く断片的な物語が私たちを深い森の中へと連れていく。これは夢だろうか、前世だろうか、未来だろうか。らせん状に続く道を歩きながら取り返しのつかない過去を反芻しては、亡霊のように付きまとう自己を内観する。歪に削られた石が並ぶ茫洋とした風景のなかに、微かに揺れる希望がある。
散文詩、ソネット、物語調などさまざまな形式の詩作によって独自の世界観を描き出す詩人、カニエ・ナハさんによる初の集成。第1詩集〜第3詩集と、30部限定で発売された『多島海のための舞踏会をめぐる三十の断章あるいはダンス・ショウ』を収録。
頁と頁とがくっついてしまい、
身動きがとれないどころか顔の区別もつかない
まるで私たちみたいに。
癒されなどはしない、
ただ忘れていくだけだ。
ほかのたいせつなことどもといっしょに
(二〇一号)
発行:青土社
発行年:2025年
サイズ:四六判
ページ:288P