その瞳は吸い込まれるように真っ黒で、水に濡れた石のようにいつも濡れていました。特別な涙を持つその子どもは、ある日、涙を集めているという真っ黒の服を着た男と出会います。腹が立った時に流す涙、嘘で流す涙、会いたい人に会えない時に流す涙、赤ちゃんの涙…。大きさも色も形もさまざま、宝石のような涙をたくさん持っている男は、「純粋な涙」を探しているという。子どもは男と一緒に涙を探す旅にでますがーーー。
わたしたちにとって、涙とはどんな存在でしょう。泣きたいときに泣けなかった辛さ、涙をこらえる苦しみ。深い悲しみや痛みに向き合う過程でやがて訪れる確かな光のことを描くハン・ガンの世界観が存分につめこまれた、涙をめぐる美しくあたたかな物語。
日本語版の絵は、著者の長年のファンだというjunaidaさんが担当。場所も時代も個人も特定のしない本作の世界観を繊細に描き出しています。
発行:評論社
発行年:2025年
サイズ:四六判
ページ:88p