ソ連崩壊直前。留学してきたフィンランド人の寡黙な少女と、建設現場へ出稼ぎに向かうロシア人の男。モスクワからウランバートルへ向かうシベリア鉄道の同じ部屋(コンパートメント)にふたりが偶然乗り合わせるところから物語は始まります。まったく共通点のない、初めは互いに嫌悪感すら抱いていたふたりは、寝台列車の中で寝食を共にし、無数の町や集落を通過し、時に途中下車しながら進むうちに、徐々に距離が縮まっていくーー。
暗い社会背景のなかですべてがくすんで正気を失い、どこか力尽きたような雪に覆われた大陸を横断する列車の情景、旅という非日常のなかで浮かび上がる登場人物たちのプリミティブな感情を描き出したロードノベル。
カンヌ映画祭グランプリの同名映画作品の原作。
発行:みすず書房
発行年:2025年
サイズ:四六判
ページ:224p