







東日本大震災をきっかけに『銀河鉄道の夜』の朗読劇の活動を続けてきた、詩人の管啓次郎さんと音楽家の小島敬太さん。「北」に憧れを抱いていた宮沢賢治の魂と言葉を、最北の地であるサーミランドに連れて行く旅に出ます。真冬には氷点下30℃ににもなる北極圏。サーミの人びとと過ごし、その暮らしや文化を体験するなかで、現地のまなざしで初めて見えてくる差別意識や複雑な歴史、深く豊かな思想。自らの自然観や死生観を大きく揺さぶられながら、「ほんとうのさいわい」の意味を北の果てで問い続けたふたりの旅の記録。
「ーー賢治=ジョバンニが、トシやカムパネルラと共にいられるのは束の間のこと。次々に列車を降りていく仲間を見送りながら、ジョバンニは無理やりに持たされた「どこまでだって行ける切符」を握りしめ、〈銀河鉄道=生きること〉に取り残される。生きているかぎり、永遠にたどりつけない目的地〈ほんとうのさいわい〉行きの列車の中に。」
発行:白水社
発行年:2024年
サイズ:四六判
ページ:240p