知覚も思考も、記憶も感情も感覚も判断も、途切れることなくすべてが同時に到来する、これらすべての働きを「心」と呼び、私たちはそのあまりにと過大な仕事を託された「心」を携えている。 ソクラテス、カント、ハイデガー、ヴァレラ、メルロ=ポンティ、夏目漱石…。哲学を中心に認知科学や文学を横断しながら、「心」のありようを探し出します。難解で、魅惑的な「心」という存在が歴史の中でいかに構築されてきたか。この厄介な「心」という存在に近づくことができるのだろうか。人類と心の3000年という長い変遷の物語を辿る、詩的な美しさを湛えた思索の書。
「心は終わらない。しかし心は不滅だと言っているのではない。むしろその逆である。心は終わり続ける。私たちの心は浮かんでは消え、消えては浮かび、何度でも終わり続けるーー」
発行:文藝春秋
発行年:2022年
サイズ:四六判
ページ:528p