カフカの恋人として知られるミレナ・イェセンスカー。カフカからミレナへの手紙は後に出版されましたが、ミレナが書いた手紙は幻のままです。失われてしまったその手紙には何が書かれていたのか。ふたりが実際に会ったのはほんの数回にすぎず、すべては約一年間の100通以上にのぼる夥しい手紙のやり取りのなかで進んで行きました。ふたりの間にある不安や苦しみを、病を、情熱を、これは架空の手紙にもかかわらず微細に描き出す。強制収容所で絶命するまでカフカを慕いつづけ、愛と信念に生きたひとりの女性の姿が蘇ります。
発行:新潮社
発行年:2024年
サイズ:四六判変型
ページ:304P