およそ料理店というものからかけ離れた雰囲気である。
どちらかというと、山や石、あるいは本や詩に近いかもしれません。どこの国かわからない異国の風が吹き、土の匂いと暗闇のあたたかさを纏う、どの料理にも似ていない楽しいごはんをつくる店「台形」。
著者の伏木さん、料理をする瑶子さん、山羊のオク、3者の生活の機微を綴った奇想のエッセイ集です。食や店、場所、時間、それから人についての深い思考を促されます。
『蝋燭の灯りで誰かと過ごす夕食』『失われた秋を取り戻すためのオニオングラタンスープ』『一等おいしくなるピーマンの丸焼き』『朝を迎えるためのキャラメルミルク』など、詩情あふれる宝物のようなレシピも紹介。
"だけれどこうして自分たちの記憶や感情を一つ一つ掬いあげてストックし、ふとした機会にそれらを編んでゆく過程で、うっすらと朧げだけれど、しかし確かな実感とともに、一つの小さな場所が立ち現れてくる。そこは、きっとどこよりも自由な世界に違いない。"
発行:晶文社
発行年:2023年
サイズ:A5判変型
ページ:248p