






自己の内の奥底へと降りてゆく静謐で深い歌。これは、生から死へと向かう一方向の矢印ではなく、死からの再生をも暗示しているのかもしれません。生活をつらぬきながらも、異なる次元へと意識を連れて行く333首。
歌人であり、フランス文学者でもある菅原百合絵さんの第一歌集。水や鏡、境界を連想させる表紙写真はAnders Edstromによるものです。
一生は長き風葬 夕光を曳きて明るき樹下帰りきぬ
眠りとは紛れなく渡河 夜と朝のしろきほとりに身は濡ちつつ
人死にて言語絶えたるのちの世も風に言の葉そよぎてをらむ
発行:書肆侃侃房
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:144p