



写真家・畠山直哉さんの故郷である陸前高田市の市役所からの依頼で撮影した4つの震災遺構の記録。いつも賑わっていた旧道の駅、畠山さんの母校である気仙中学校、訪ねて来た友人たちが泊まったユースホステル、若い人たちが利用していた下宿定住促進住宅。今後、市が公開を前提に保存整備を行う予定のこれら4つの震災遺構を記録することは、彼にのみ可能な撮影であったように思えます。忘れるものか、と思っていても、私たちは忘れてしまう。それは仕方がないことではあっても、だからこそ、人びとの記憶や意識とともに、大きな時間のなかで再び風景へとなっていく様を見つめることが必要なのかもしれません。
発行:赤々舎
発行年:2022年
サイズ:295×208 mm
ページ:160p