






こんなにも言葉を尽くしてもまだ足りないということに驚愕する。あふれ出た言葉をとにかくできるだけ挟み込んだ様相のこの本は、京都のHAPSで開催された、「翻訳」をテーマとした5名の作家による展覧会の記録集です。
重心を「作品の写真」に置くことなく、製作者の頭の中を他者の目線によって紐解かれ、可視化され、その片鱗をまた別の他者が受け取っていくということに注力しています。側面にとらわれている限りは全体を知ることはできない。ひとつとして確かなものが掴めないままだとしても、本来バラバラと不確かな思考そのものの姿が立体として浮かび上がります。言葉でしか近寄れない場所への信頼と、言語化することの限界に挑むような、どこまでもプロセスを追いかけてゆく渾身の記録。
趣向を凝らし血肉を注いだ形跡と、卓越したセンスが合致したブックデザインも注目の一冊です。
〈内容物〉
・企画終了後に参加作家5名(小出麻代・長谷川由貴・小林太陽・村上美樹・西尾佳織)と行ったトークの抜粋
・展覧会の写真記録
・参加作家が企画の最中や企画の後に書いたメモやテキスト
・各作家の対話・翻訳にご協力いただいた方々の、解説文、エッセイ、翻訳文、メモ、など
発行年:2022年
サイズ:270×190 mm