そのクジラの死に私たちの生活は影響しているのだろうか、だとすれば、私たちにできることはなんだろう。その答えを見つけるために、クジラの解剖を続けている海獣学者の田島木綿子さん。「クジラが打ち上がったよ」の電話一本で海岸へと出動します。
スピード勝負の解剖のこと、爆発するクジラ、貴重なシロナガスクジラとの遭遇、巨大な骨格標本ができるまで、地球環境の現状と変化…など、海の哺乳類の魅力と、彼らの死体から受け取ったメッセージを私たちに届けてくれます。日本一クジラを解剖してきた研究者の七転八倒の日々の記録。
「彼らはなぜ、生きる場所として再び海を選んだのだろう。海での暮らしに適応するために、どんなふうに進化していったのだろう。そして、なぜ海岸に打ち上がるのだろう。それが知りたくて、一つひとつの死体からか聞こえる声に耳を澄ます。」(はじめに)
発行:山と溪谷社
発行年:2021年
サイズ:四六判
ページ:336p