中国西南部に位置する貴州省に暮らす民族、苗(ミャオ)族は、山に閉ざされた厳しい土地で、日々の糧を得る生活をしてきました。
かつて文字を持っていなかった彼らは、歌で物語を伝え、刺繍で神々や生活を描いていました。
飛びぬけたセンスと卓抜な技術で知られるその刺繍は、綿花や麻の栽培から糸紡ぎから装飾まで、一着を仕上げるのに何年も費やすことも珍しくありません。
「邪悪なものは布目から入ってくる」という言い伝えから、その邪気をはねのけるために祈りを込めた刺繍を施しました。お守りでもある刺繍はやがて布目を埋め尽くし、針目はさらに細かくなっていきます。
王侯貴族のためではない、身近な人を守るための途方もない手仕事。芸術にまで達するミャオ族による刺繍の魅力が伝わる一冊です。
発行:大福書林
発行年:2016年
サイズ:B5判
ページ:160p