







69歳で惜しまれながらこの世を去った、イタリア文学者・随筆家の須賀敦子さん。最愛の夫ペッピーノを亡くしてのち、知り合ったスマ・コーンとジョエル・コーンのふたりは、こころを許した親友でした。この本には、22年の長い年月にわたってふたりの親友に宛てて書かれた55通の手紙すべてが収められています。
メガネをなくしたこと、らっきょうを漬けたこと、ひとつの恋が終わったこと、こわい戦争がはじまってしまったこと。きちんと並んだ柔らかな青インクの筆跡からは、須賀さんの勤勉でお茶目な姿がうかがえます。
たびたび使われる “山ほどありがとう” の言葉が、切ないほどの愛と信頼に満ちています。
実妹・北村良子さん、コーン夫妻へのインタビュー、松山巌さんのエッセイも収録。
「一寸淋しいきもちだけどしずかで明るいかんじも戻ってきました。
今はふうふう言って本読んだりしています。
私はオクテもいいとこでやっとこの年になって少しだけ文学がわかってきたみたい。」
発行:つるとはな
発行年:2016年
サイズ:155×215mm
ページ:254P