西洋化が進む明治時代に美術思想家として活躍した岡倉天心。1906年に自らが英語で執筆した「The Book of Tea(茶の本)」が、ニューヨークの出版社から刊行されるとベストセラーとなり、各国で翻訳されました。
ここで語られているのは、日本文化・東洋文化とその思想、哲学、美意識について、そして、「死の術」を説く武士道に対して「生の術」の象徴とも呼ぶべき茶道について。漢籍にも漢詩にも造詣が深く、仏教にも親しむ東洋文化の高い教養と、それと対極にあるような英語力。「茶の本」は、天心のこの2つの能力が理想的な形で発揮された、美しい結晶のような本と言えます。
刊行から120年を迎えるいま、自己の価値観や心の拠り所を改めて認識するための叡智となる一冊。原文の息遣いを残しながら、茶道のもつ柔らかさと美しさを重視した新訳です。天心の熱心なファンである美術家の会田誠さんによる解説付。
「もし、戦争による陰惨な栄光によって文明化がもたらされるというのであれば、私たちは喜んで蛮族のままでいたいと思う。そして、私たちの芸術と理想とに正当なる敬意が払われる時代が訪れるのを待ちたいと思う。」
発行:TWO VIRGINS
発行年:2026年
サイズ:174×116 mm
ページ:208p