舞台はフィリピン・マニラの貧困地区。突然試合が中止になりファイトマネーを得られなくなったボクサー、自宅が目の前で破壊されたスラム街の住人、常に雇主の顔色を窺う家事労働者…。貧困や構造的暴力を生きるということは、今後の見通しが宙吊りになった状況下で毎日を凌ぐことである。何が起こるかわからない、約束されない明日を待ち、今を生きのびるということはどういうことか。彼らが直面する困難な時間のディテールを共にまなざし、思考するためのエスノグラフィー。
「困難な時間に投げ入れられたとき、いかにしてその時間を凌ぐのか。ーー困難な時間が個的にだけでなく類的にも経験されているのだと理解すれば、その対処法も類的に考えていくことが可能になる。そしてそれは、困難な時間をひとりで背負い込む人に、《あなたはひとりではない》と語りかけることでもあるーー」
発行:青土社
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:416p