




東日本大震災と原発事故の後、放射能汚染に慄き風評被害に傷つきながらも、直接的な被害は比較的少なかった、福島県いわき市小名浜。この地で生まれ育った著者は、常に当事者と非当事者のあわいを彷徨い、悶えながら地域活動を続けてきました。
本書には、震災から10年を経た後の小名浜で暮らす人びとと交わした言葉が綴られています。復興とは、原発とは、ふるさととは。災禍の後も続いていく暮らし。その中を地元の人びとはどんな想いで生きてきたのか。災害が絶えない世界を灯す光となる、渾身の人物エッセイ。
「ーーぼくらはみな、だれかの悲しみのよそ者だ。…寄り添えない世界に立って、それでもなお、他者との間に、細々とでもいいから手繰り寄せられそうな線を探し出そうとする。そんな営みの先に、きっと新たな世界が広がっていく。」
発行:里山社
発行年:2025年
サイズ:114×207 mm
ページ:256p