2061年の日本。最後の時間を過ごすためにつくられた集落で、人々は、本当に死にたくなるまでの時間を自由に過ごす。そこにあるカフェ「クロエ」に集まる常連たちの回想の日々がつづられています。
鮎とズッキーニのスパゲティーニ、きゅうりと肝のソース、杏のケーキ。
鼻腔に残るワインの余韻、記憶の底から蘇ってくる味覚、からだに記憶されている味。 死ぬ人しかいない場所で編まれる、食べ物と記憶にまつわる未来の物語。死ぬ時、最後に口にしたい料理はなんだろう。
カフェ「nicolas」の店主による書き下ろし小説。30年後のnicolasでもあり、著者不在の私小説でもあります。死を描きながらも、風が通り抜けるようなうつくしい読了感。
物語の中のレシピも付いています。
発行:Deterio Liber
発行年:2024年
サイズ:185×118 mm
ページ:102p