










チリの詩人、パブロ・ネルーダの子ども時代のことを綴った物語。雨の多い田舎町、テムコで暮らす少年は、ひ弱でしたが並外れた想像力の持ち主でした。理不尽な父親と時代から強くあれと望まれた男の子が、美しいものに感動し、弱い者を守ろうとする気高さを築き、空想を止めることなく、やがて文学者として歩みはじめる、その過程が描かれています。幼い頃から身体に染み込んでいた雨のリズム、森の中を歩いた記憶、豊かな想像力が育んだ優しさは彼の詩に深く根付き、時を経ても人びとのこころに響き続いています。この本のテキストと挿絵は、ネルーダが好きだった緑色のインクで印刷されています。緑色は、エスペランサ=希望の色だと考えていました。
美しい挿絵はチェコの絵本作家、ピーター・シスによるものです。
発行:岩波書店
発行年:2019年
サイズ:A5判
ページ:288p