





昭和を代表する私小説作家、上林曉さんの傑作小説集。選者は古書善行堂を営む山本善行さんです。
その名前のとおりに、まだ暗い空に光が滲みはじめる暁の空のような、静謐でうつくしい11編の小説。鮮やかな色彩の阿部海太さんの挿画が、作者の瑞々しい文体をいっそう際立たせます。過不足ない造本も愛おしい一冊です。
「上手ではないが感興を与えるのだ。…音を聞いているのではない。手の動くのを見ているのだ。だかしかし、矢っ張り聞いているのだ。心の芯が曲の流れの方へ流れて行く。」(手風琴は古びた)
発行:夏葉社
発行年:2023年
サイズ:四六判変型
ページ:432p