





想いや情景がキャラクターを通すことによって重さを脱ぎ捨て、軽やかに広がっていく。「私の」というそれよりも、もっと愉快で突き抜けた抽象化の境地へと。どこか滑稽で切ない真剣な恋をリロードする369首。
今より少し先の未来に暮らすふたりの青年、兼古緑と荻原楯の存在を描いた表題作に加え、歌集「はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで」269首を併録。
ゆっくりと心の型を取られてるこの感じ そうこれが嫉妬だ
眩しさは君ばかりかと思ったらおれも光っていてどうしよう
目を閉じる 自動で君が現れる 九割あまく一割つらい
発行:短歌研究社
発行年:2022年
サイズ:新書版
ページ:192p