






少年の断片的な記憶の風景には、常に喪失の悲しみが影を落としている。夢と現実を自在に行き来し、季節の移ろいと呼応しながらのびのびと過ごす中で、常に強力な事実として物語に影響を与えている兄の不在。少年が夢の中から一輪の花を持ち帰ることかできたとき、ふわふわと彷徨っていた少年の精神は、やっと希望ある現実へと着地する。
イランの映画監督アッバス・キアロスタミと詩人アフマド・R・アフマディーが共作した幻の絵本。穏やかに幻想の世界へと引き込んでいくアフマディーの物語と、詩情あふれるキアロスタミの写真コラージュが共鳴する、うつくしく滋味深い作品です。
発行:kanoa
発行年:2022年
サイズ:240×240mm
ページ:32p