







死がすぐそばにある。短歌のリズムを大きくはみ出して繰り出される混沌とした世界の断片は、恐ろしくて懐かしくて、妙に納得してしまう。夜にくるケモノ、死んだ動物、どしゃぶりの雨、みんないなくなったあとの世界も、すべて愛おしい。はじめて出会うのにふしぎと既視感がある。これはわたしも知っていた景色だ。歌人・野村日魚子さんの第一歌集です。
生きてると死んだの間に引く線のあまりにぐにゃぐにゃであることを話す
とても古くよいものを見つけそのことを言いに地下鉄を抜ける
わたしたちの中でいちばん強い者が戦いますたとえ絶滅しても
発行:ナナロク社
発行年:2022年
サイズ:B6判
ページ:160p