





コロナ禍に"二つ目"となった噺家の林家彦三さん。
寄席のない日々、ぽっかりと空いた時間に綴られた、日記的な思索のノートです。
前座最後の日、雨降りの日のこと、文房具のこと、懐かしさについて…。どこか古風で優しい文体からは、迷い、立ち止りながらもゆっくりと進む、若き噺家のしなやかな立ち姿が浮かび上がります。
「もう、明日からは前座ではないのだと思うと不思議だった。ーーまがりやすい背中を少しだけぴんとのばして、もう少しよい姿勢で、歩きたいと思った。明日からは見える景色も、もう少しだけ靄がはれているようであったら良いと思った。」
発行:書肆侃侃房
発行年:2022年
サイズ:四六判変型
ページ:256p